1.現場報告 中小企業の再生 4.利益の源泉を探せ!
2.中小企業経営と企業再生 5.経営者の決断
3.新会社で復活!

4. 利益の源泉を探せ!

 東京近郊にある食品製造卸業の話である。社歴は長く、順調に業容も拡大してきたが、販売先が大手量販店、コンビニエンスストアなど大手企業との取引が中心となり、厳しい要求に応えなければならなくなっていた。ここ数年大幅な赤字が続き、金融機関からの借入金も拡大の一途となり、月々の資金繰りも厳しさを増すようになってきているにも拘わらず、会社は具体的な方策を取れずに赤字を垂れ流し続けていた。

このような会社の問題は特殊なケースを除いて、在庫の管理ミス、営業情報の非共有、非効率な人員投入の三点に問題が集約されている場合が多い。この工場の在庫倉庫や工場内、通路を見た限り、整理整頓がされておらず、何処に何がどれだけの量置かれているのかさえ把握することが難しい状態になっていた。また、工場と営業との間で、コミニュニケーションが十分なされておらず、営業が工場に生産中止品の連絡を行わず、また、工場が独自の生産計画で原料資材を発注し、在庫が滞留しロスが発生するという繰り返しであった。

また、段取りの悪さから生じるラインの停止や作業員のミスが原因で、多くの手直し作業や、材料の入れ間違いによる取引停止など、ありとあらゆる問題が発生していたのである。このような状態の中で、利益を出せといっても無理な話なのである。そして、この会社の場合も、抽象的な指示は出ているもの、具体性に欠けることが多かったのである。

企業再生で最も重要なのは、このような利益を失う原因の把握と除去である。金融支援や不動産の売却を行ったところで、根本の事業から利益が出せなければ、会社は何時か倒産するのである。その点を忘れ、債務整理を行ったところで、実りある結果は生まれないのである。

この会社の場合、まず、資金繰りに大きな影響のある在庫の圧縮から取り組んだ。倉庫は棚番もなく、通路にも荷物が溢れている状態で、販売量の見込み違いや誤発注により大量の滞留在庫が発生していたのであるが、社員総出で滞留品や賞味期限切れ品を廃棄したところ、駐車場に山のような在庫が積みあがった。一生懸命、捨てるための資材を、お金を出して購入していたのである。

また、在庫管理がうまく行かない原因の一つに営業との情報共有不足があったのであるが、先の廃棄資材も、殆どが営業と製造の情報共有不足であった。要は、この会社が赤字体質に陥っていた原因のかなりの部分は、情報共有不足と在庫管理能力不足だったのである。その証拠に、部門横断の若手中心に改善活動を始めると、今まで見えなかった問題点が共有されるようになり、資材発注や在庫管理に対する考え方や行動に変化が見られ、廃棄物を作るためにセッセとお金を支払うことの馬鹿らしさに気付いたのである。このことは、生産ラインの改善にも繋がり、作業並びに製品の品質も向上し、顧客からのクレームも激減したのである。

結局、企業再生に近道があるわけではない。地道な一円単位のコスト削減を通して、利益を積み上げていくしか方法はないのである。製造業に限らず、利益の源泉は細部に宿っているのである。

ポイント
 1.利益体質にならなければ会社の再生は不可能である
 2.在庫という金食い虫に焦点を当てれば、利益確保の道筋が見える
 3.在庫には資金が投入されており在庫が減れば借金も減る
 4.在庫が少なくなれば作業におけるミスも少なくなる

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