大企業から始まった企業再生の流れは、ここ数年、ようやく中小企業にも波及してきた。
特に、中小企業に対する再生の枠組みが徐々に整備され、中小企業にとっても本気で再生に取り組める環境になったと言える。
しかし、粉飾決算により企業実態が不透明性になっていたり、「根雪」のような借入金の金利支払いのために体力を蝕まれていたり、また、社員に対して明確な将来像を提供できなかったりと、依然として数多くの中小企業は先行きに希望が持てないでいるのではないだろうか。
ただ、一方で中小企業の中にも再生軌道にのり、以前の活気を取り戻した企業も沢山あることも事実である。
中小企業の再生という、経営者にとって未知なる領域に足を踏み入れる決断はなかなかできるものではないが、先達の事例はそれが容易であることを示している。
ここに紹介する会社は、創業50年以上の資材卸会社である。
創業者は数多くの不動産を残し、後継者にも恵まれたものの、不動産の多額の含み益が災いし、創業者の遺産相続に伴う相続税の支払いや、無理な投資に伴う資金の焦げ付きが原因で、多額の借入を抱えることとなってしまった。
また、経営的にも高コストの解消が遅れ、年商の50%以上の借入残高と比較的高い金利のため、恒常的に赤字体質となり、その赤字を穴埋めするために更なる借入をするという悪循環に陥ってしまったのである。
もちろん、赤字企業に対して金融機関も融資をすることができないため、会社は毎年粉飾を繰り返し、抜き差しならぬ状態になってしまった。
毎月の資金ショートが経営者では対応できないところまで来たところで、ようやく、外部の力を借りて再生の切欠を掴んだのである。
中小企業の再生で重要なことは、その企業が今の事業内容と経営者の組み合わせが、世の中から必要とされているか否かの見極めでる。
この会社の場合、資材卸会社として数多くの事業者との口座が確保されており、大手の仕入先もその営業力に一目置く存在あり、今後の事業展開に不安はなかった。しかし、恒常的な資金不足を解消するには、経営の抜本的な改革が必要と考え、幹部全員参加の再生計画案作りからスタートすることとなった。
この再生計画案は、金融機関に会社の実態を正確に伝えるとともに、債務超過の解消と借入金の返済スケジュールを約束することを目的としたものである。
当初、経営者の一部には、粉飾の実態を明らかにすれば、金融機関からは融資がストップされ、取引先は取引停止をしてくるから粉飾を続けるべきであるとの意見もあった。
しかし、実際は財務内容の実態を明らかにするととともに、不動産の売却を視野に入れた実現可能な再生計画を提示することにより、金融機関や大手仕入先からも、悪材料は全て出尽くしたという安心感からか、従来どおりの与信継続が可能となったのである。
再生計画案作りは今まで気づかなかった高コスト体質の見直しにも繋がり、定期預金の全額相殺と相まって、会社の利益体質の強化に繋がったのである。
※一般的な会社再生手続き
●企業実態の正確な把握と開示
●経営者と幹部社員全参加での再生計画案作り
●金利引き下げと定期預金相殺依頼
●再生計画案提出までの短期資金繰りの確保
●金融機関・大口仕入先への説明
●再生計画案の社員への説明
●再生計画の毎月の進捗管理 |